コトバアソビ：みんな。皆。見んな。みんな。

みんな、って音、
気になってしかたない。

口に出して何回も言っていたら
ゲシュタルト崩壊のように言葉がただの音に聞こえてきた。
ただの音なのにね。

みんなと。
みんなで。

みんなやってる。
みんな一緒。
みんな言ってる。
みんなできるのに。

なぜあなたは、
私はできないの？

呪いのようかな。

勇気のようかな。

実体のない『みんな』。

粒のように、
一人一人顔が浮かべば
この上ない勇気。

固まりのように浮かぶときは
この上ない恐怖。

入学して、
引越して、
転校して、
クラス替えをして、
入社して、
輪に入って、

でも
いつだって混ざり込めなかった『みんな』。

内側にいるのかな。
外側にいるのかな。

内側に入りたいのかな。
外側に出たいのかな。

そもそも
混ざり込みたかったのかな。

一緒でいたかったの？

この物差しは
『みんな』のものじゃない。

自分自身だけのもの。

さて、
今持っている物差しは
誰のもの？